人気ブログランキング | 話題のタグを見る

神経因性疼痛の仕組み解明

神経因性疼痛の仕組み解明 九州大などの国際チーム (1)

記事:共同通信社
提供:共同通信社
【2005年12月15日】

神経回路が損傷し、体に触れるだけで強い痛みを感じる慢性疾患「神経因性疼痛(とうつう)」が、脊髄(せきずい)の細胞から大量放出される特定物質が神経細胞を刺激するために引き起こされることを、九州大の井上和秀(いのうえ・かずひで)教授らとカナダの大学の共同チームがラットを使った実験で突き止めた。15日付の英科学誌ネイチャーに発表した。

神経因性疼痛は、がんや糖尿病の患者、手術後などに起きるが、発症の詳しい仕組みは分かっていない。鎮痛剤のモルヒネも効かず、効果的な治療法がないのが現状だ。

 井上教授らはこれまでに、神経因性疼痛では、中枢神経で免疫機能を担う細胞「ミクログリア」が活性化し、その細胞表面で情報伝達にかかわるタンパク質「P2X4」が異常に増えていることを発見。今回は、P2X4が痛みにどう関与しているかを調べていた。

実験には神経因性疼痛を発症させたラットを使用。P2X4による刺激で、神経細胞の栄養分となる物質「BDNF」がミクログリアから大量に放出され、この影響で神経細胞の働きを抑制するはずの神経伝達物質「GABA」が、通常とは逆に神経細胞を興奮させ、強い痛みを引き起こすことを確認した。

井上教授は「神経因性疼痛の患者は、外見は正常なため周囲からは理解されにくい。今回の研究成果を薬の開発につなげたい」と話している。

介在物質に1つの解答 (2)

国立精神・神経センターの高坂新一(こうさか・しんいち)神経研究所長の話 これまで詳しく分かっていなかった神経因性疼痛(とうつう)のメカニズム解明に近づいたといえる。ミクログリアの活性と神経細胞の間で、どういう物質が介在しているか、今回の研究結果は1つの解答を与えるものだ。今後は人間の患者でもミクログリアが増えているかなどを確かめることが課題だろう。治療薬にはP2X4の阻害剤を作ることが有望と考えられる
by c-dunk | 2005-12-15 20:11 | 痛み

走る迷走柔整師  ココロと身体はセット 設楽義勝


by c-dunk