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よく寝て、よく遊べ。

軟骨の問題=痛みじゃないので注意。しかし、運動によって症状と機能の改善あり。
[2006年1月26日 (VOL.39 NO.4) p.01]

初期の変形性膝関節症
中等度の定期的運動が有効
〔米ジョージア州アトランタ〕 ルンド大学(スウェーデン・ルンド)のEwa M. Roos博士らは,変形性膝関節症(膝OA)の発症リスクの高い中年男女が中等度の運動を行うと,関節の症状・機能が改善するとともに膝軟骨の質も向上するとの研究結果をArthritis & Rheumatism(2005; 52: 3507-3514)に発表した。

MRI技術で評価が可能に
 変形性関節症(OA)は成人の身体障害のおもな原因となる疾患で,高齢社会の到来に伴い慢性関節疾患であるOAによる個人・社会の負担する医療費が増大するため,より積極的な介入が不可欠となる。膝関節や股関節のOAによる痛みを和らげ関節機能を改善する方法としては,早期診断と中等度の運動が最も有効であるが,米国では関節炎の成人患者の60%以上が最低限必要とされる運動さえも行っていない。
 従来,OAは関節が老朽化して起こる疾患で,運動は関節軟骨を強化しないばかりか軟骨の喪失を早める恐れすらあると考えられていた。仮説の検証も,OAの進行を検討する標準法であるX線検査では,重度の軟骨損傷が生じる前の軟骨の評価ができなかったため,最近まで困難であった。しかしMRI技術の発達により,軟骨の強度と柔軟性をもたらすグリコサミノグリカン(GAG)値が測定できるようになり,初期OA患者の軟骨の評価が可能となった。
 Roos博士らの研究では,最近 3 ~ 5 年間に変性性半月板裂傷の修復手術を受けた経験のある35~50歳の45例(男性29例,女性16例)を登録し,運動群と対照群にランダムに割り付けた。運動群は,専門家の指導のもとで 1 回 1 時間,週 3 回の有酸素運動と負荷運動を 4 か月間行った。試験開始時とフォローアップ時に両群の被験者に対してMRIスキャンを行い,GAG値を検討して膝軟骨を評価し,また膝の痛みとこわばりの程度や運動についての質問を行った。45例のうち30例(運動群16例,対照群14例)が試験を完了し,試験後評価を受けた。

定期的な運動が膝軟骨を強化
 その結果,運動群の多くでは,運動と身体機能検査結果が対照群より優れていた。肺機能検査と体力検査の結果も改善し,自己報告による変化を裏づけた。MRI検査では,指導下での中等度運動に定期的に参加した者でGAG値と運動量の間に強固な相関が認められた。
 共同研究者でルンド大学マルメ病院(スウェーデン・マルメ)のLeif Dahlberg博士は,「今回の研究は,運動の増加が成人の関節軟骨の組成に変化をもたらすことを示しており,動物実験で得られていた所見を追認する結果が得られた」と説明。「この試験はヒトの軟骨は筋肉や骨と同様に生理的負荷に反応することを示すもので,以前より認められていたOA患者の症状が運動で改善する現象が軟骨の質の改善とともに生じていた可能性,あるいは軟骨の質の改善が症状改善をもたらした可能性を示すものと考えられる」と述べている。
 Roos博士らも認める通り,今回の試験は被験者が少なく,また対象が半月板切除術を受けた患者に限られているという限界があるほか,運動が軟骨に及ぼす長期的効果を示す所見は得られていない。しかし,膝OAの発症リスクを持つ患者の予防に運動が重要な役割を果たす可能性があるとの研究結果は,今後十分に検討する価値がありそうだ。
by c-dunk | 2006-02-02 09:22 | 運動

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