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膝関節炎

膝OAではなくて膝関節炎のはなし?

膝関節炎には、軟骨ペースト移植が、費用対効果が高く長期持続する
提供:Medscape
縦断研究によれば、1回の関節鏡下治療で長期間持続して疼痛を解消し、機能を回復させ、組織再生の機会が得られるという優れたものである
Laurie Barclay, MD
Medscape Medical News
Reviewed by Gary D. Vogin, MD


【3月7日】関節炎の膝の治療には、軟骨ペーストの移植が費用対効果が高く、長期持続するという前向き縦断症例シリーズの結果が、『Arthroscopy: Journal of Arthroscopy-Related Surgery』3月号に発表された。

「ペースト移植技法は、以前にStoneらが報告したもので、関節鏡下で洗浄、壊死組織切除、軟骨下骨折という手順の方法を用いて、自己間葉幹細胞を刺激して増殖分化させ成長因子放出させる手技である」とストーン・クリニック(カリフォルニア州サンフランシスコ)のKevin R. Stone, MDらが記述している。「関節軟骨と軟骨下骨を小片化した複合ペーストによって、血管豊富な軟骨下骨髄からの間葉幹細胞の供給が増強されると考えられている。これによって組織の適切な再生に不可欠な細胞信号と伝導基質が与えてられている可能性がある……骨軟骨ペーストの持続的な留置が技術的に可能であることは、動物試験と臨床試験の両方で示されている」。

この症例シリーズでは、Outerbridge分類でIV度の病変を持つ患者145例に、関節軟骨ペースト移植という外科的治療を136回実施した。患者の平均年齢は46歳(範囲は17-73歳)、女性が34%、男性が66%を占めていた。患者125例を対象に、妥当性が認められているウェスタン・オンタリオ大学・マクマスター大学関節炎質問表、IKDC質問表、Tegner主観的質問表と臨床データを手術から2年ないし12年後に採取した。患者145例のうち、12年間の追跡から漏れたのが20例(13.7%)あった。セカンドルック関節鏡を行った患者66例については、再生軟骨の生検材料を基に、欠損部位の充填の量と質を部外の組織病理判定者が盲験下で評価した。

妥当な疼痛・生活機能・活動の測定値は、手術後に有意に改善しており(P<0.001)、125例の患者のうち104例(83.2%)は臨床的に成功と見なされた。外科的治療が成功しなかった18例の内訳は、その後に関節鏡手技を実施したのが10例と、手術後に疼痛が悪化したのが8例であった。66回分の生検材料のうち、42個(63.6%)には関節表面の置き換えを示す強く一貫した証拠が見られ、18個(27.3%)には正常とは区別をつけられない軟骨部分ができていた。

「Outerbridge分類でIV度の関節軟骨病変を持つ患者の治療法として、関節軟骨ペースト移植は費用対効果が高く、1回の関節鏡治療ですむ」と著者らは記している。「この手法は、疼痛を伴う軟骨病変がある膝関節炎患者に対して長期間持続して疼痛を解消し、機能を回復させ、組織再生の機会を与えることができるという優れたものである」。

この試験の限界としては、組織学的評価に抽出標本誤差がある可能性があること、試験開始時での質問表が治療を受けた軟骨病変のみの評価法として妥当かどうかの検証がなされていないこと、手術前後のルーチン的な核磁気共鳴画像がないこと、試験デザインが非盲験非対照であることが挙げられる。

「ほとんどの患者において、再生した修復組織は持続性がよく、2年から12年間保たれた」と著者らは結論で述べている。「正常に近い外見の関節軟骨部分が再生した患者と、線維軟骨の部分が大きく占めている患者はともに疼痛が解消し、機能が回復した。IV度の病変へのペースト移植で得られたこの疼痛解消は、年齢、性別、前回の手術からの経過時間(月数)とは独立しており、このことから、軟骨修復の第1選択治療と救済治療の手法として適切であると考えられる」。

Arthroscopy. 2006;22:291-299
Medscape Medical News 2006. (C) 2006 Medscape
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