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そりゃそうだろ。

これと比べるのはちょっとずるだろ。
非手術的治療群には物理療法,家庭での身体活動に関する患者教育/カウンセリングを実施し,非ステロイド抗炎症薬(NSAID)に耐容性がある場合はこれを処方した


Medical Tribune
[2007年2月22日 (VOL.40 NO.8) p.11]

椎間板ヘルニア
手術のほうがQOL改善早い
非手術的治療との比較試験で

〔米ジョージア州アトランタ〕 エモリー大学(アトランタ)整形外科教授で同大学脊椎センターのScott D. Boden部長らは,椎間板ヘルニアとそれに伴う下肢痛に対する手術と非手術的治療を比較する画期的なランダム化比較試験を実施した結果,いずれの治療法も有効であるが,手術のほうがQOLの改善は早いことが示唆されたとJAMA(2006; 296: 2441-2450)に発表した。

as-treated解析では有意差
 Boden部長によると,背痛または下肢痛患者に対して施行される手術としては椎間板切除術が最も一般的で,ほとんどの症例では手術は待機的である。
 しかし,椎間板ヘルニアは疼痛症状を伴わずに画像検査で発見されることも多く,実際,同部長らが1990年に発表した研究では,健常者のMRI所見の約 3 分の 1 で椎間板ヘルニアが疑われた。米国では椎間板切除術の施行率は地域により異なり,世界的にはさらに施行率が低いこともあって,一部の施行例では非手術的治療と比べた手術の適切性・有効性に対する疑問が指摘されていたが,これまでは適切な治療法を同定するうえで十分なエビデンスが得られていなかった。
 今回の研究では,椎間板ヘルニア患者を手術群と非手術的治療群にランダム化割り付けして比較するintent-to-treat解析(臨床試験でプロトコル違反が見られても,最初の割り付け通りに解析)を実施。いずれの治療群でも,治療後 2 年間の疼痛軽減に関しては同等の成績であることがわかった。ただし,こうした試験の実施は非常に困難で,今回も非手術的治療群の多くが激しい疼痛のために継続できず,手術に切り替えなければならなかった。
 そこで,治療法を変更した患者を交差群とみなしてas-treated解析を実施したところ,手術群のほうがすべての変数において改善度が高かった。さらに,疼痛が強かった患者に限定した場合,手術群のほうが非手術的治療群より改善が早かった。

SPORT研究の初の結果発表
 Boden部長は「今回の研究は真に画期的なものである。結論的には手術も非手術的治療も同等となるかもしれないが,今回の知見を完全に理解した場合,本当はそうではないことがわかるだろう」と述べている。
 さらに,同部長は「ヘルニアの状態に関して患者に適切な情報を与えたほうが,患者はよりよい選択ができることがわかった。疼痛が耐え難いほどひどい場合や,疼痛が自然に改善した場合,患者が当初の割り付けとは異なる治療法に切り替えることも予想通りであった。こうした交差群の適切な評価は困難であるが,最終的に選択された治療法で解析した場合,手術群のデータのほうが有意に優れた結果を示していた」と付け加えている。
 今回の研究は,米国立衛生研究所(NIH)の一機関である米国立関節炎・筋骨格・皮膚疾患研究所(NIAMS)の助成を受け,椎間板ヘルニア治療法の有効性と費用効果を検討するために1999年に着手されたSpine Patient Outcomes Research Trial(SPORT)研究の一環で,同研究の結果が発表されたのは今回が初めてである。
 同部長は1996年に,脊椎疾患のアウトカムに関するデータ収集のために各地の脊椎センターの非営利組織である全米脊椎ネットワーク(NSN)を立ち上げた。SPORT研究の参加施設の一部のメンバーもNSNの会員で,これらの施設で集積された予備的研究データが,最終的にSPORT研究に結び付いた。同研究は臨床試験としてはNIAMS史上最高額の助成を受けた。

低いコンプライアンス
 Boden部長らの試験は,2000年 3 月~04年11月に全米11州の集学的脊椎治療施設13か所における画像診断で椎間板ヘルニアが確認され,神経根障害の徴候や症状が 6 か月以上継続し,手術適用を予定していた患者472例(平均年齢42歳,女性42%)を登録して実施された。
 患者を椎間板切除群(232例)と非手術的治療群(240例)にランダム化割り付けし,非手術的治療群には物理療法,家庭での身体活動に関する患者教育/カウンセリングを実施し,非ステロイド抗炎症薬(NSAID)に耐容性がある場合はこれを処方した。6 週間後と 3,6,12,24か月後にフォローアップ診断を実施した。
 両群とも割り付けられた療法に対するコンプライアンスは低く,手術群で登録から 3 か月以内に手術を受けたのは50%であった。また,非手術的治療群の30%が 3 か月以内に手術に変更したが,これは当初の予測通りで,激しい疼痛のために脱落して,手術を要求する患者が出るだろうと見込まれていた。
 同部長は「手術群,非手術的治療群ともに,最初の 2 年間で著明な改善が認められた。改善度は全期間を通じ,また,すべての因子において手術群のほうが高かったが,当初の割り付けに従ったintent-to-treat解析では統計学的に有意差は出なかった」と述べている。
 副次エンドポイント(坐骨神経痛の重症度,症状緩和に対する満足度,主観的改善度,就業状態)においても,両群ともに著明に改善したが,改善度は手術群のほうが高かった。

観察研究でも手術群に軍配
 今回のような疼痛を伴う疾患に対する手術介入試験では,患者が治療を変更することが多く,intent-to-treat解析には治療の有効性が十分に反映されないようである。Boden部長は「いずれの群からも他方への変更者が相当数出たために,intent-to-treat解析のみでは治療法の優劣や同等性を正しく評価できない」と指摘。「結局,最終的な治療法に基づくas-treated解析を行った結果,明らかに手術群のほうが成績は良好であった」と述べている。
 さらに同部長らは,今回のランダム化割り付けに同意しなかった患者を対象に患者に治療法を選択させた観察研究も実施し,その結果をJAMA(2006; 296: 2451-2459)に発表しているが,この研究でも改善度は手術群のほうが非手術的治療群よりも高かった。

by c-dunk | 2007-03-01 14:55 | 痛み

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by c-dunk