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痛みに関するもう1つのレッスンー慢性疼痛は可塑性の狂乱である④

「慢性疼痛を生の感覚より知覚に近いものと見なす」だからこそ瞑想が行くに立つ可能性があって、そこが「あるがまま」にみるというところなんだよね。

ここにヒントがあるんだと思うけど。

モスコヴィッツは、慢性疼痛を「学習された痛み」と定義している。慢性疼痛は疾病の兆候を示すだけでなく、それ自体が疾病である。急性痛の原因を除去できず。中枢神経系がダメージを受けるために、身体の警報システムが「オン」になったままになってしまう。こうして、「ひとたび痛みが慢性化すると、その治療はさらに困難になる」36頁

彼の考えは、「痛みのニューロンマトリックス理論」と呼ばれる。メルザックのもう1つの説に収斂していく。急性痛は感覚、すなわち感覚受容体からのボトムアップで脳に入ってくる「入力」である。だが、慢性疼痛は急性疼痛より複雑で、トップダウンに伝えられる傾向を持つ。ニューロンマトリックス理論は、慢性疼痛を生の感覚より知覚に近いものと見なす。というのも、脳はさまざまな要因を斟酌しながら損傷を負った組織に対する危険度を測定するからだ。いくつかの研究が示すところでは、脳は、痛みの主観的な知覚経験を形成するあいだ、損傷の程度の測定の加え、痛みを緩和する何らかの行動をとれるかどうかを評価し、さらにダメージが改善するか悪化するかについての見通しを立てる。私たちの脳は、これらすべての評価をもとに自分がこれからどうなるかを予測する。この予測が、私たちが感じる痛みの度合いに大きな影響を及ぼす。メルザックは、脳がかくのごとく慢性疼痛の知覚に近くに影響を及ぼす能力を鑑みて、痛みを「中枢神経系の出力」に近いものと概念化したのだ。36-37頁

このように、痛みの神経回路は、身体から脳へと一方的に信号を伝達しているのではなく、身体から脳へ、そして脳から体へと常時再循環されている。痛みの反応は、痛覚信号がひとたび脳に届いたらそこで止まるわけではなく、さらなるダメージを回避し、治癒を促進するために進化した、あまたの自律的な反応を開始させる。私たちはあとずさりし、負傷した手や足を動かさないように保護し、うめき。助けを求めて叫び、可能なら負傷の程度を何度も確かめる。こうして私たちは、負傷の程度の最新の評価に基づいて、激しい痛みを感じたり、安心したりを繰り返す。37頁

神経可塑性研究の最前線
ノーマン・ドイジ(著) 高橋洋(訳) 紀伊國屋書店
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痛みが起こるのには、心と身体の両方が関わっています。
慢性痛に関する学説や治療法は数多くありますが、
どの説も、慢性痛の症状があるなら、身体だけではなく、
心にもその原因があるという大原則は一致しています。

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by c-dunk | 2016-09-18 16:09 | 痛み

走る迷走柔整師  ココロと身体はセット 設楽義勝


by c-dunk