人気ブログランキング | 話題のタグを見る

皮膚は境界だけど流体。「人は皮膚から癒される」

皮膚は境界だけど流体。「人は皮膚から癒される」
人は皮膚から癒される」
山口創(著) 草思社

山口先生の本は4冊目だね。とっても大事な原点なんだけど普段は忘れがちだよな。

境界と思っている皮膚をいかに拓くのか。
またいろいろ勉強になった。

一か所だけ自分のメモで引用しますね。

マッサージからみる共振
前述のようにオキシトシンの高い施術者に触れられると、触れられた人のオキシトシンレベルも高まることがわかっている。
このようにオキシトシン分泌量が多く、かつエネルギーも強い施術者であればよいが、逆の関係になることもあるという。すなわち、受け手の「悪いもの」が施術者に移ってくるという現象である。受け手が「悪いもの」(それが何か科学的に突き止められていないが)を持っており、なおかつエネルギーが強い場合には写ってくるのだろう。

仮に共振といった現象が、単に神経学的な現象として起こるのだとしたら、それを防ぐ手立ては見込めない。しかし自律神経や運動神経、そしてオキシトシンといったホルモンもすべて、心と無関係に働いているわけではない。施術者の心の持ち方を変えることで、患者から「もらってしまう」ことを防ぐことができる。

具体的にいえば、「間を意識する」、つまり85ページで紹介した「間人主義」の立場で触れるということである。
もしも「集団主義」の立場で触れたとすると、相手との関係を境界で隔てることをせず自己を相手に埋没させてしまうことになる。それは自分ではなく患者の身体だけに意識を集中してしまうことになり、患者の身体に共振して「もらって」しまいやすくなる。
逆に「個人主義」のように相手との関係を確固とした境界で隔ててしまい、自分の身体や技だけを意識してしまうと、患者の身体を無視した一方的なな施術になっています。

そこで「間を意識する」ということになる。これは自分と患者の間の「あわい」の空間に意識を向けながらスキンシップをすることである。すると触れた手から患者の身体の状態を意識しつつ、それに対する自分の感覚にも同時に注意を向けることで達成できる心の状態である。これを意識すれば「もらってしまう」ことなく共振が起こり、スキンシップの効果が深まるだろう。179-180頁

本書は施術者だけの話ではなくて心理学的なものも含めて、皮膚から人間関係を考える本です。
当たり前かもしれないけどこれが、どれほど大切か「見る」「話す」「触れる」ですね。


山口創(著) 草思社
皮膚は境界だけど流体。「人は皮膚から癒される」_a0064004_21495332.png

by c-dunk | 2016-09-21 21:54 | 身心

走る迷走柔整師  ココロと身体はセット 設楽義勝


by c-dunk