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筋損傷

やっぱり筋損傷は遅発性筋痛で起きていること全く同じではないのか。それをきっかけにTPが形成されるのは間違いなさそうだ、しかしウエイトトレーニングを続けておれば常にこの筋損傷の繰り返しのはずだが・・・

筋・筋膜性疼痛の病態と治療 筋・筋膜性疼痛のメカニズム
シンポジウム1.3B会場 7月19日 15:00~16:50
川喜田健司
明治鍼灸大学生理学教室
日本ペインクリニック学会誌 vol9 no3 2002抄録

【目的】本稿では,トリガーポイントが原因となって現れている諸症状の総称として筋筋痛性疼痛を用い,現在提唱されているトリガーポイントの成因に関する諸説を概説すると共に,我々が現在検討しているヒトおよびウサギの実験的トリガーポイントモデルを紹介する.その中で,臨床上多くの謎に包まれている筋筋痛性疼痛のメカニズムの一端を明らかにする.

【方法】実験1:健康成人を用い,中指に可変式のおもりを装着して伸張性収縮運動負荷を繰り返して与え,その後作成された圧痛閾値低下部位に対し,圧痛閾値と各組織の痛覚閾値の経時的変化をそれぞれ記録した.また,同様の運動負荷後2日後に生じたトリガーポイント様圧痛部位に絶縁針電極を刺入して電気活動を記録した.実験2:軽麻酔下のウサギを用い,坐骨神経の電気刺激で腓腹筋を強縮させながら他動的に引き伸ばす伸張性収縮運動負荷を与えた.その後,腓腹筋の局所電気刺激で得られる屈曲反射を指標に閾値低下部位を決定し,同部位から電気活動の記録も併せて行った.また,抗炎症薬や自律神経遮断薬の影響も調べた.

【結果】ヒトで作成した圧痛閾値低下部位は索状硬結上に限局して出現し,同部位の電気刺激により,局所単収縮反応や一定の関連痛パターンを誘発した.また圧痛閾値は運動負荷2日後で最も低下し,7日後には運動負荷前の値まで回復した.その経時的変化や空間的分布は索状硬結上の筋膜相当部位の痛覚閾値と密接に関連していた.圧痛閾値低下部位に絶縁針電極を刺入すると,筋膜相当の深度で強い重だるい感覚に同期して電気活動が記録された.この電気活動は,索状硬結が存在する筋と同一筋上からも記録できた.麻酔下のウサギにおいても,運動負荷2日後に腓腹筋の筋腱移行部付近には索状硬結が触知され,その筋膜部分に限局した閾値低下部位が出現し,その部位に限局して持続的な電気活動が記録できた.脊髄側索の電気刺激や同一筋への鍼刺激はこれらの電気活動を抑制したが,交感神経遮断剤では抑制しなかった.インドメタシンの繰り返し投与によって,閾値低下部位の出現は抑制された.

【考察】本実験で得られた圧痛部位からは,索状硬結,限局した圧痛部位,一定の関連痛パターン,局所単収縮反応,自発筋電図活動など,トリガーポイントの特徴を認めることが出来た.今後,その慢性化に向けた研究が必要であるが,トリガーポイントの実験モデルとして今後の研究に大いに有用と考えられた.近年,トリガーポイントから記録される電気活動を運動終板の異常な機能亢進とする説があるが,今回の実験から,その電気活動は,抗炎症薬の投与によって消失したこと,同一筋から記録できたこと,重だるい感覚をともなって出現したことから,筋膜のポリモーダルタイプの受容器からの入力によって誘発された反射性の筋電図活動であったと考えられる.また,今回用いた方法は遅発性筋痛をもたらすものであることから,トリガーポイントの成因に,筋損傷がその引き金となっていることを強く示唆するものである.

【結論】筋筋膜性疼痛の原因とされるトリガーポイントが,伸張性運動負荷による筋損傷を引き金として発生し,その過程にはポリモーダルタイプの受容器の感作が重要な役割を担っている.
by c-dunk | 2006-06-09 16:01 | 痛み

走る迷走柔整師  ココロと身体はセット 設楽義勝


by c-dunk